[STAY] 湯宿さか本 / Yuyado Sakamoto

 
 

もしかしたら、さか本は大いに好き嫌いを問う宿です。何しろ部屋にテレビも電話もトイレもない。スリッパもない。冷暖房設備もないから、夏は団扇と木立を抜ける風がたより。冬は囲炉裏と薪ストーブだけ。そう、至らない、つくせない宿なんです。

http://www.asahi-net.or.jp/~na9s-skmt/

ホームページを見て、心の準備はできていたと思っていたけれど…

 
 
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きっかけは東京の鳥越にある蕪木という喫茶の店主に、石川県だったら「湯宿さか本にいつか行きたいんです」と言われたことでした。地元の人ほど地元のことを知らず、外の人に教えてもらうことは実に多い…それですぐに調べて、気になるとすぐにでも行きたい!と行動派の私は思ってしまうのですが、ホームページをじっくり見ていると「冬は寒いので閉めます」と。春が来るのを待ちました。

金沢から湯宿さか本のある能登・珠洲市までは車で1時間半。まだ肌寒い、桜が散った頃でした。はやめについてしまったのですが、はなれを案内してくださりそこで時間を過ごしました。

 
 
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はなれの方は床暖房で快適。暖かくワイルドな自然を眺めながらぼーっとしたり本を読みました。コーヒーもご自由にということでした。CDプレイヤーがあったので普段は聞かないクラシックをかけてみました。

はなれの方は床暖房で快適。暖かくワイルドな自然を眺めながらぼーっとしたり本を読みました。コーヒーもご自由にということでした。CDプレイヤーがあったので普段は聞かないクラシックをかけてみました。

 
 

15:00。チェックインの時間になったので母屋へ。女将さんが部屋まで案内してくれました。「お食事は18:30からです。それでは…」

簡潔に、素っ気なく伝えられて、部屋に取り残された気分になった私たち。笑顔も特にないし「彼女は私たちが嫌いなのか?」サービスがフレンドリーかどうかに敏感な相方は困惑しています。「事前に、説明したじゃない。ホームページも見たでしょう。」「でも、それとこれとは違う。」「まあまあ、そんなことよりこの時間を楽しもうじゃないか。」「それもそうだ。」

 
 
何気なく飾られているものが奇をてらっていないように感じられて好き。この花瓶はミルクポットかな?

何気なく飾られているものが奇をてらっていないように感じられて好き。この花瓶はミルクポットかな?

 
 
廊下にはガラスの引き戸が付いているとはいえ、まだ4月となると寒い。私は実家を思い出しました。昔の家ってそういうものだしね。

廊下にはガラスの引き戸が付いているとはいえ、まだ4月となると寒い。私は実家を思い出しました。昔の家ってそういうものだしね。

 
 
余計な装飾は一切ない。間のとりかたが好きだなあ。

余計な装飾は一切ない。間のとりかたが好きだなあ。

 
 
敷地内には社。

敷地内には社。

 

16:00すぎ。お風呂に行ってみる。奥の扉を開けると竹林が広がっており、開放感のある半露天風呂。風が吹くとサラサラと葉が擦れる音がして、夕暮れに鳥が鳴いて、虫がたまに寄ってきて…なんという贅沢。

「テレビやスリッパはないのは分かるけど、やっぱりフレンドリーさはあるべきだ」「でも、日本の旅館の笑顔で館内の説明なんかを丁寧にしてくれて…というのは私たちにとっても気を遣う時間じゃない?私はあまり好きじゃないんだよね」「笑顔がぎこちなくて、つくった声なのが気になることもある。それは確かに、心地よくない」「笑顔のサービスが日本のスタンダード。それに慣れてしまっているから、それがないことは違和感になってしまい、怒っていると我々が勝手に解釈しただけで、実際に彼女は怒っていないし」「比較対象なしにそれをそれとして捉えるなら、こういうサービスもあっていい」

 
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「それを個人が好きか嫌いかは議論になっても良いが、彼らがそうあるべきではないなんて誰も言えない」

 
囲炉裏と、薪ストーブの近くに寄れば暖かい。

囲炉裏と、薪ストーブの近くに寄れば暖かい。

 

夜ご飯。相変わらず、素っ気ないサービス。姉弟であろう2人がしつけられた美しい所作で料理を運んでくれる。料理に関する説明は一切ない(笑)それをそれと捉えると決めた私たちはその徹底ぶりに顔を見合わせて笑った。むむむ、そんなことより。とっても美味しい。

 
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さよりの干物。

さよりの干物。

 
 
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淡々とお料理を出してくれるので、こちらは黙々といただく。刺身は料亭だと初めの方に出てくるけれど、中頃に出てきたり、おにぎりは最後ではなく終盤の煮物の前に出てきたり…様々なこちらの想定を覆される。料理を出す順番とか、どこどこ産のなになにとかそんな話はいいんだよ、うまいもんはうまいんだよと言われているような。

 
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最高。


初めは様々に考えを巡らせたけど、私はこの宿に感謝したい。いい感じにほっといてくれて、自分の時間をすごすことができる。それでいて掃除の行き届いている空間、美味しい料理を提供してくれる。わかりやすい人のサービスをはぶいて黒子に徹底的に徹するのも大変だと思う。こんな宿他にあるのだろうか?

 
 
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